「何故救われたのは源氏だけなのよっ!!」
言葉にしてはいけないことはわかっていた。
でも、想いは膨らみ・・・自分ではもうどうにも出来ないところまできており、それを一番ぶつけてはいけない相手にぶつけてしまった。
望美はもちろん、驚いた表情をして私の方を見ていた。
望美・・・あなたは悪くないのにね
でも、この気持ちは止まらない
あなたの大切な人が源氏にいるように
私の大切な人は平氏にいた
あなたが龍神の・・・いや、源氏の神子だと知った時、私は元の関係が崩れる覚悟で戦った
私はここで朽ちてもいいと思った
元の世界に・・・家族や友達にもう会えなくてもいいと思った
それだけ・・・
この世界を愛してしまったから
あの方と出逢わなければ私は何もせずに泣き喚いただけだろう
地に足をつけることを忘れて、この世界を批判ばかりしていただろう
そんな私に、あなたはたくさんのモノを与えてくださった・・・
この世界で一人になっても生きていける強さを教えてくれた
本当はあの時、私も連れて行って欲しかった・・・
あなたのいないこの世界に生きている価値なんてないんだから
私はこれから源氏の・・・源義経と行動を共にします
これが、正しい道なのでしょうか?
これからの運命を知っている私は複雑で仕方ない・・・
私にも望美のような力があればあなたを失わずに済んだのでは
しかし私にはそのような力など無い
どう足掻いても・・・
どれほど祈っても・・・
その力を手に入れることなどできないのだから
平氏の私は運命の上書きなど許せない・・・
しかしその反面、望美には私と同じ思いはして欲しくなかった
大切な人を失う苦しみなど・・・味わってほしくなかった
重盛様・・・今あなたは幸せですか?
また違う時間軸で、あなたが幸せに子供達と共に過ごしている時間があると・・・
私は信じています
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