「なぁ、今日部活なくなったからマックいこうぜぃ」
「・・・あぁ、いいぜよ」
帰りのHRが終わり、部活に向かおうとした仁王の真横の窓が開き、そこからブン太が顔をのぞかせた。
そして部活がなくなったことを知らされて、ブン太の誘いのまま仁王は学校を出た・・・
「良かった~割引券財布に入れといて」
マックに向かう道で、ブン太は自分の財布と睨めっこをしている。
最近金欠だとか部室で叫んでいたっけ・・・
仁王はそんなことを思い出しながらブン太を見るが、仁王の焦点には全く合っていない。
そしてブン太は自分の食べるものが決まったのか、仁王に残りの割引券を見せてくる。
きっとこの中から選べということなのだろうが、仁王にはまったくブン太の行動が見えていない
「おぃ、仁王!!」
「・・・なんじゃ、そんな大きな声出さんでっ―――――――
耳元で名前を呼ばれた仁王は嫌でも意識がブン太に向けられる。
そして、仁王は言葉の途中で驚いた表情を見せた。
ブン太が振り返り、何に驚いたのか見ようとした瞬間、仁王は走り出しどこかへと向かう。
「ちょっ、仁王!!!!」
すぐにブン太も後を追いかけるが、仁王は周りが見えていないのか赤信号で横断歩道を渡ろうとしている。
慌ててブン太は手を伸ばすが、その手をすり抜けて仁王は横断歩道を渡っていく。
その時だけ、ブン太の世界は色をなくし、ゆっくりと進んでいく・・・
追いつきそうで・・・追いつけない
もう一度手を伸ばした途端、時間は戻り信号は青になっていた。
仁王はやはり周りに目もくれず横断歩道を渡って行った―――――