王道学園小説
『僕と君』
B.l/王道/学園/全寮制/15禁
※以下b.Lです。苦手な方はBack please
登場人物はココから …
【目次】
01.1ヶ月遅れの入学…
02.一難去ってまた一難
学校が終わり、担任である夏目に連れられて教科書を買い終えると地図を頼りに寮へ向かった。
地図のおかげなのか、籐夜自身の力なのかわからないが今朝の迷子が嘘であるかのようにあっさりと寮へと着いてしまった。
やはり今朝の出来事は学校が悪いのだと改めて実感する籐夜。
きちんと“1年寮”であることを確認して中へと入った。
「まずは舎監に挨拶くらいはしろよ」という夏目の言葉通り籐夜は舎監部屋のチャイムを鳴らした。
「あっ、今日から入寮する子だね。どうぞ、中に入って」
扉を開けて出てきた人物に籐夜は一瞬ドキッとしてしまった。
相手は男…相手は男…と言い聞かせ中へ入ると立派すぎる居間へ……
胸の動悸が治まらないままソファに座った。
「始めまして、1年寮の舎監をさせていただいてます秋山と言います」
「黒江籐夜です、これからお世話になります」
「ふふっ、可愛らしい子ね」
「かかかか可愛らしいって…」
「だから気を付けてね?」
―――――――また?
可愛いと言われ、慌てふためいていた籐夜だったが、また同じ言葉を耳にし表情を曇らせた。
今度こそ籐夜はその言葉がどういう意味なのか秋山に聞いてみた。
「…あの?何に気をつければいいんでしょうか?」
「そっか、じゃぁなおさら気をつけないとね。じゃあ寮の説明に入るね」
「えっ、あっ…はい」
(何ではいって言うんだよ俺っ!!!!!!!)
籐夜は心の中ですぐさま突っ込むが時すでに遅し、秋山は寮の説明を始めた。
寮は学年別になっており、他の寮には22時以降立ち入りは禁止。
寮のつくりはどの寮も同じ、1階には舎監部屋と大食堂。
2階には大食堂とコンビニ、3階と4階は部屋。
5階は大浴場となっている。
寮の部屋は2人ずつ、全ての部屋に簡易キッチンとシャワールーム完備。
部屋割りはクラス関係なしに編成されている。
「…説明はこれくらいです。後は実際に過ごしてみればわかるでしょ」
「はい、ありがとうございます」
「それではこれが部屋の鍵、カードキーになります。失くさないようにしてくださいね」
秋山からカードキーを受け取った籐夜は秋山に礼を言い、カードキーに大きく書かれた『4Y』の部屋に向かった。
校舎の内装もすごかったが寮の内装も金をかけていた。
廊下が絨毯で敷き詰められている建物など見たことがなかった籐夜は部屋が立ち並ぶ4階に着き、足を踏み入れた途端に驚いた。
足を踏みしめ、絨毯の感触を楽しみながら『4Y』の部屋の前に着いた。
扉の横にかけている札には「都築虎次郎・黒江籐夜」と書かれていた。
同室の人は聞いたことがないので違うクラスなのであろう…籐夜は取りあえず扉をノックしてみたが中からの反応はない。
仕方なしにもらったばかりのカードキーを指し込んでゆっくりと扉を開けた。
「凄い…」
扉を開けると大きな窓の傍に白のテーブルが置かれており、部屋の両端に個人の部屋へつながる扉がある。
どちらに入ればいいのか迷った籐夜は同室の虎次郎が戻ってくるまで待つことにした。
テーブルを同じ色の白い椅子に腰を掛けた籐夜は窓の外を覗いた。
窓の向こうには森が広がっており、孤児院のある街も見える。
きっとあの場所だろうと思いながら籐夜は中途半端な別れをしてしまった凌のことを思い出した。
明日からゴールデンウィーク、きちんと凌と話をしようと決意した時、部屋の扉が開いた。
「じゃあな、また明日!!!……あっ」
「こ…こんにちわ」
短めに切られた髪は金色に輝いており、見た瞬間に背も高いとわかる。
2人が同時に顔を互いに向けた時、虎次郎は籐夜を指さし、籐夜はどうにか言葉を発するのがやっとだった。
恐い……これが籐夜の虎次郎を見た時の第一印象だった。
人のことは言えないが虎次郎はどう考えても“不良”であったのだ―――――――――――
To be continue…
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