存在すら創作の2と8の中途半端小説です。
D人に偏見のある方はBack!!!
出会いなんて唐突だけれども…
こんなに鮮明に覚えているものだと思った
それはきっと…
お前だからだと思う―――――――――――
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柳生と仁王が出会ったのは武蔵野学院二年の時だった。
クラスが同じなだけで、けしてその時の席が近かったからだとか一緒にいるほど仲が良いということもなかった。むしろ優等生の柳生と授業はしょっちゅうサボる仁王は全く係わり合うことはなかった。
しかし柳生は仁王を見て、その存在が気になり目が離せなくなった。白銀の綺麗な髪をウルフカットにし、襟先は鎖骨まで伸ばしている。動く度にその銀髪はサラサラと肩をなぞるように左右に揺れ動き、その一つ一つの動きに柳生は魅了されていった。
しかし仁王は他人に全くと言っていいほど興味がない。そして自分のことは他人以上に興味がない…
仁王が柳生という存在を初めて知ったのは暖かい春の日の午後のことだった……
午後から登校した柳生は、珍しく授業をサボり誰もいないと思われる噴水広場へ足を運んだ。
しかしそこには白銀の髪の持ち主…仁王がいたのだ。寝ているのかテラスに置かれているテーブルに伏せって規則正しい寝息をたてていた。その姿に引き付けられる様に仁王の側へ歩み寄った柳生は隣に座り、髪を掬い上げ唇を添えた。
そこまでして気付かない仁王ではない。勢いよく体を起こした仁王はこちらをジッと見続ける柳生と目が合った。柳生のその目がスッと細められ、微笑まれた。仁王はたじろぎ、唇を軽く噛み締め目を泳がせて視線を下へと向けた。
柳生は整った綺麗な顔立ちをしており、綺麗な…汚れの知らない目をしていた。
そんな目で自分を見ないで欲しい、仁王は視線を戻すことが出来なかった。今も自分の汚れた部分を見透かされているようで…
「綺麗な…髪の色ですね」
スッと自分の膝元に影がさす。柳生が仁王の真横に寄り添い、先ほどと同じように髪を掬い上げた。そしていきなり髪のことについて言われたので顔を上げるとキスしてしまいそうなくらい近くに柳生の顔があった。
「あっ…」
一度視線を交じり合わせば背けることなどできなかった。
柔らかく微笑む姿に思わず柳生を突き飛ばし、噴水広場から出て行った。
もう会うこともないと思っていた仁王だったのだが、次の日登校してみるとクラスに柳生の姿が見られた。
クラス変えをしてしばらく経つし、一目見ただけでこれほどに印象に残る人物だ。よほど自分が人に興味ないのだなと仁王は自嘲気味に笑った。しかし見つけたからといって自分から話し掛けに行くことはない。ただ遠くからずっと柳生の姿を見ているだけだ。
つまらない授業もただ椅子に座り、気がつけばジッと柳生の方を見ていた。
これではストーカーである。
柳生のことを考えるのは止めよう…そう思っていたのだが、クラスでも柳生は目立っていた。
「仁王君、プリント…出してくださいね」
暖かい日差しが差し込む中、窓の外を見ていた仁王に柳生が声をかけた。柳生の問いにまだ出来ていないと答えると、提出日は今日だから放課後残って下さいと釘をさされた。
本当は今日が提出日だということは知っていた。ただ話すきっかけが欲しかっただけだ……
案の定、放課後の教室には仁王と柳生の二人だけである。
柳生は黙々とプリントに答えを書き込んでいく仁王の前の席に座り、本を読んでいた。仁王は視線だけ柳生の方を向いた。
(長い睫毛じゃのぅ…あっ、あんな所にホクロがあるんじゃな)
いつの間にか柳生の観察をしていた仁王の手は止まっており、横目で様子を伺っていた柳生はパタンと本を閉じた。
「仁王君、手が止まっていますよ?」
「いやぁ…ここがわからんくての」
何とかごまかそうとして仁王は空白の問題をシャーペンで叩いた。
(本当はわかっているのに…)
そう思いながらも柳生は気付かない振りをして身体を乗り出した。
「ここはですね…」
仁王の手からシャーペンを取り、図表に線を書き込んでいく。
栗色のサラサラとした前髪が左右になびく。そこに視線がいき、柳生の説明など全く聞いていなかった。そしてシャーペンを返され、問題を解かされた。問題を解く仁王の姿を見ていた柳生は苦笑した。
「やはりわかっていたのですね?先ほど私が教えたのと解き方が違いますよ」
「なっ…」
してやられた…どこか罰が悪そうに身を縮める仁王に柳生は笑みを浮かべ、出来上がったプリントを手に取った。目に付いたところだけ答えを確認していくが、間違ったところなど見受けられない。そして柳生は左手にしている腕時計に視線を移せば、仁王がこのプリントを解き始めてからさほど時間が経っていない。やればできるではないか…いや、仁王はできるのにしていないだけである。できるなら後回しにせずとも先に済ましてしまえばいいのに…
「あなたは手の抜き方が下手なんですよ」
「……?」
「だから余計に目立ってしまう」
「お前さんの方が目立ってると思うんじゃが?」
いきなり話を持ちかけられてどう答えればいいのかわからなかった仁王だが、二言目で何が言いたいのか理解した。仁王と柳生…クラスの中での認知度は柳生の方が高いであろう。クラス委員で成績は常に上位に位置しており、先生からの信頼も厚い。自分と比べて完璧すぎる人間が目立たないわけではないであろう。
疑い深い目で柳生の方を見た仁王だったが、柳生はいつものように穏やかな笑みを浮かべているだけであった。そんな自信満々な目で見られるとこちらが間違っているように思えてくる。
「仁王君、自覚が無さ過ぎですよ?あなたが起こす行動のおかげでクラスの生徒なら一日に何度も名を耳にする。そうすれば必然的にどんな人なのか興味が湧き、どのような人なのか見てみたいと思ってしまう。そうすればあなたの存在がその人の頭の中に印象としてのこ…」
始めの方は大人しく聴いていた仁王だったが、段々と話しはややこしくなっていき聞き飽きたと言うべきか、仁王は身体を乗り出して柳生の唇を自分ので塞いだ。お堅い柳生のことだ、すぐに突き飛ばしてくるだろうと思っていた仁王だったが、暫くしても柳生は何もしてこない。
取りあえず黙った事だし、唇を離した仁王は柳生の目を見た。
「何故何もしてこん?」
「…ちょっと吃驚しましたが、そういう恋愛感情に偏見は持っていません。それに私は…」
「もうよかっ!!!!!!!」
仁王は柳生の言葉を遮り、机に思い切り手をついて立ち上がると逃げるように教室から出て行った。
仁王が教室から飛び出した時、誰かとぶつかりそうになったがぶつからなかったのなら関係ない。仁王はそのまま誰もいない廊下を走り去っていった。その後姿を見えなくなるまで見ていた少年は柳生のいるクラスの扉を開けた。
「柳生、用事は終わった?」
「あっ、幸村君。用事ならたった今終わりま…」
「柳生ぅ~!!!」
扉の所にいたのは同じ運命を背負った友、幸村精市。そして幸村の後ろからひょっこりと少年が飛び出してきた。金髪のフワフワとした髪を靡かせて柳生に飛びつく。
「おやおや、慈郎君…あなたまで来たのですか?」
「だって柳生が遅いんだもん」
「それは申し訳ないことをしましたね」
「それじゃぁ行こうか。手塚も観月も待ってるし」
「そうですね…あっ、その前に職員室に寄って行っても構いませんか?」
長さの違う三つの影が仁王とは逆の方向へと進んでいく。
仁王雅治と柳生比呂士…住む世界が違う二人が交わった今、運命はまたサイコロの目を振りなおす。
この結果は―――――――――――――
誰にも分からない……
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『G@ME』の設定で28(82?)です。
途中から即興で作っちゃいました(笑
オモロー!!!!!←ぇ
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